重度訪問介護の資格ってなに?どんなのがあるの?

訪問介護で働く

どうも、ケアマネ介護ライターのいぶたろうです。21年も早くも6月になりましたね。新しい仕事を始めたり入学して新生活が始まって慣れてきた方も多いと思います。まだまだ新型コロナウィルスの影響は大きいですが手洗い・うがいをこまめにしつつ頑張りましょう!

 さて、前回私の記事で訪問介護の中でも長時間訪問に特徴がある「重度訪問介護」を取り上げていましたが、その中で資格に関するこんな質問をいただきました。

 

Q:「介護福祉士や、初任者研修なんかは聞いたことあるけど重度訪問介護ヘルパーとして働く”重度訪問介護従業者養成研修”ってなに?」

今回はそんな重度訪問介護の資格の解説をしていきます!

 

目次:

①重度訪問介護従業者養成研修ってどんな資格
②3号研修ってどんな資格
③それぞれの資格の関係性

 

「①重度訪問介護従業者養成研修ってどんな資格」

 ”重度訪問介護従業者養成研修”ずいぶん長い名前ですが、これは重度訪問介護で働くための法令で定められた資格になりまして、都道府県知事が定めた研修所で講習と実習を行うことで取得できる資格になります。早速概要を見ていきましょう。

名称:

重度訪問介護従業者養成研修 (以下、重度訪問研修)

 

課程:

基礎課程・追加課程・統合課程

 

内容:

重度訪問研修は上記のように3つの過程に分かれます。基礎課程を修了すると、追加課程を受講できます。統合課程は、基礎&追加の内容に加えて医療行為である吸引・経管栄養が含まれた研修(3号研修と同等)です。下記が各課程のカリキュラムになり、重度訪問に関する講義を受けた後に実際の介護の技術を学べる実習があります。

 

【基礎課程】計10時間(講義3時間+実習7時間)

 重度の肢体不自由者の地域生活等に関する講義(2時間)

 基礎的な介護技術に関する講義(1時間)

 基礎的な介護とコミュニケーションの技術に関する実習( 5時間)

 外出時の介護技術に関する実習(2時間)

 

【追加課程】計10時間(講義7時間+実習3時間)

 医療的ケアを必要とする重度訪問介護利用者の障害及び支援に関する講義 (4時間)

 コミュニケーションの技術に関する講義 (2時間)

 緊急時の対応及び危険防止に関する講義 (1時間)

 重度の肢体不自由者の介護サービス提供現場での実習 (3時間)

 

【統合課程】計20.5時間(講義12時間+実習8.5時間)

 重度の肢体不自由者の地域生活等に関する講義(2時間)

 基礎的な介護技術に関する講義(1時間)

 コミュニケーションの技術に関する講義(2時間)

 喀痰吸引を必要とする重度障害者の障害と支援に関する講義・緊急時の対応及び危険防止に関する講義(3時間)

 経管栄養を必要とする重度障害者の障害と支援に関する講義・緊急時の対応及び危険防止に関する講義(3時間)

 喀痰吸引等に関する演習(1時間)

 基礎的な介護と重度肢体不自由者のコミュニケーション技術に関する実習(3時間)

 外出時の介護技術に関する実習(2時間)

 重度の肢体不自由者の介護サービス提供現場での実習(2.5時間)

 

 ※各研修とも研修中に”筆記試験”があります

 ※統合課程を修了した場合、個別利用者さんごとの実地研修を受けることでその人に関して医療行為(吸引・経管栄養)ができるようになります

 

前提となる資格や経験:

なし

→介護福祉士と違い、必要となる前提資格や経験は不要なので誰でも受講可能です。

 

期間:

2〜3日間程度(研修所のカリキュラムによります)

 

費用:

3万円〜5万円前後(研修所によります)

 

探し方:

インターネット検索や都道府県の障害福祉研修所の管轄ページにリストが載っていることもあるので、参考にしてみてください。

 

<東京都の例>

・東京都福祉保健局の研修紹介ページ→https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/joho/soshiki/seifuku/chiiki/oshirase/kyotaku.html

 (東京都福祉保健局、障害者居宅介護従業者基礎研修等より引用)

 

・事業者ページ

https://asxeed-inc.co.jp/high-support-academia/

 (株式会社ASXEED、ハイサポートアカデミアの研修より引用)

 

 研修修了後は資格の取得の証である修了証が発行されますので大切に保管して、重度訪問ヘルパーの仕事をする際に事業所に提示しましょう。

 

「②3号研修ってどんな資格?」

 ”喀痰吸引等3号研修(特定の者)”これだけ聞くとなんの3号だろうと思いますよね。実は喀痰吸引(痰の吸引)が可能な資格には施設等で不特定多数の利用者さんに医療行為ができる「1号研修」「2号研修」があり、「3号研修」はそれと違い”特定”の利用者さんに実施ができる資格となり、都道府県知事が定めた研修所で研修を受けることとなります。

 重度訪問においては、個別の利用者さん、つまり”特定のもの”に対して吸引や経管栄養を行うことがあるので3号研修が必要となります。こちらも概要をみていきましょう。 

 なお、吸引や経管栄養は医療行為にあたり原則として医師や看護師といった医療職しか実施できないのですが平成24年の法改正により介護職員もこのような研修を修了して実施することが可能となりました。 

 

名称:

喀痰吸引等3号研修(特定の者) (以下、3号研修)

 

内容:

3号研修は下記の1基本研修をカリキュラムを研修所で修了しその後、個別利用者さんごとに実地研修を行うことでその人に関して医療行為が実施できるようになります。

 

【基本研修】計9時間(講義8時間+演習1時間)

 重度障害児・者等の地域生活等に関する講義(2時間)

 喀痰吸引等を必要とする重度障害児・者等の障害及び支援に関する講義(たんの吸引),

    緊急時の対応及び危険防止に関する講義(3時間)

 喀痰吸引等を必要とする重度障害児・者等の障害及び支援に関する講義(経管栄養),

    緊急時の対応及び危険防止に関する講義(3時間)

 喀痰吸引等に関する演習(1時間)

 

※基本研修中に評価となる筆記試験があります

 

【実地研修】
 基本研修を修了した人が、実際重度訪問を予定している利用者さん宅で、吸引と経管栄養の実技研修及び評価を指導看護師さんから受けるのが実地研修です。実際にその利用者さんに医療行為を行い、指導看護師による評価に合格すれば、その利用者さんの吸引や経管栄養を実施できるようになります。

 期間は1日のなかで評価を受け修了することが多いですが、不合格や実施する行為が多い場合は2日以上に分けて行うこともあります。

 

前提となる資格や経験:

対象となる利用者さんがいる訪問介護ヘルパー

→3号研修は特定のものを対象にしていますので、吸引や経管栄養が必要な利用者さん宅に訪問しているあるいは訪問予定のヘルパーさんが対象となります

 

期間:

基本研修1日間、実地研修1日〜(研修所のカリキュラムによります)

 

費用:

2万円〜5万円前後(研修所によります)

 

探し方:

インターネット検索で事業所が見つかるので、参考にしてみてください。

<東京都の例>

・事業者ページ

→https://www.yasashiite.com/subdomains/div_page/16/20/

 (株式会社やさしい手、喀痰吸引等3号研修(特定の者)より引用)

研修修了後は資格の取得の証である修了証が発行されますので大切に保管して、重度訪問ヘルパーの仕事をする際に事業所に提示しましょう。

 

「③それぞれの資格の関係性」

 これまでみてきたように、重度訪問研修の資格は種類が多いので混乱しがち。働き方と合わせて一度整理してみましょう。

 

  • 重度訪問研修「基礎課程+追加課程」

 →この組み合わせを修了していると重度訪問ヘルパーとして働くことが可能です。ただし、痰の吸引や経管栄養といった医療行為がある現場ではそれを実施することができません。

 

  • 重度訪問研修「基礎課程+追加課程」+「3号研修」

 →この組み合わせを修了していると重度訪問ヘルパーとして働くことができ、吸引や経管栄養も実施可能です。(利用者さんごとに実地研修を受ける必要有り)

 

  • 重度訪問研修「統合課程」

 →この組み合わせを修了していると重度訪問ヘルパーとして働くことができ、吸引や経管栄養も実施可能です。(利用者さんごとに実地研修を受ける必要有り)

3号研修がなくても上記ができるのが統合課程となります。ただし、全ての都道府県が実施しているわけではありません。

 

  • 「3号研修」

 →重度訪問研修修了者やすでに介護福祉士、実務者研修等の資格を保有している人が、訪問ヘルパーとして医療行為をする際に3号研修を受けることで実施可能となります。(利用者さんごとに実地研修を受ける必要有り)

 

※これらの区分や可能な行為は自治体によって扱いが異なることもあるため、詳しくはお住まいの都道府県の管轄WEBページ等をご確認ください

 

 今回は、重度訪問介護に関わる資格のお話でした。知名度は低い割になかなか複雑なので、働いているヘルパーさんや事業者でも混乱しがちなこの資格。しかし、逆に言えば取得者が介護業界の中でそれほど多くないので、マスターするとそれだけで、メリットがあるかもしれませんね^^

 また今後も訪問介護の制度やエピソードを書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

タイトルとURLをコピーしました